百人一首 38番 忘らるる
右近の歌です。決まり字は「わすら」、出典は拾遺集の恋四です。
忘らるる 身をば思はず 誓ひてし
人の命の 惜しくもあるかな
読み:わすらるる みおばおもわず ちかいてし ひとのいのちの おしくもあるかな
現代語訳 あなたに忘れられるわたしの身のことは何とも思いません。ただ、神に誓ったあなたの命が、ばちが当たって失われはしないかと惜しまれるのです。
読み方
昔のかなづかい:わすらるる みをばおもはず ちかひてし ひとのいのちの をしくもあるかな
38番を、かるたで読み上げるときの今の発音で書くと「わすらるる みおばおもわず ちかいてし」「ひとのいのちの おしくもあるかな」になります。38番は、拾遺集の「恋四」の部にのっている恋の歌で、拾遺集の中では870番の歌です。
「読み上げ」は、この端末に入っている日本語の声で読みます。声によっては不自然に聞こえることがあります。読み上げのために何かを送ることはありません。
ことばの説明
- 誓ふ(ちかう)語
- 神仏にかたく約束する。(デジタル大辞泉「誓ふ」)
- 惜し(おし)語
- 失うのがもったいない。残念だ。(デジタル大辞泉「惜し」)
この歌の場面
自分を忘れてしまった恋の相手に向けた歌です。忘れられた自分のことはどうでもいいけれど、神に誓ったのに約束を破ったあなたの命が、ばちが当たって失われないか心配だと、皮肉とも本心ともとれることばで伝えています。
作者の右近
醍醐天皇の中宮・藤原穏子に仕えた女房です。宮中の歌合にも参加しました。(デジタル版 日本人名大辞典+Plus「右近」)
「わ」で始まる歌
38番のほかに「わ」で始まる歌は6首あります。38番の決まり字は「わすら」なので、3文字目の「ら」まで聞くと、この歌だとわかります。
- 8番 わが庵は 都のたつみ しかぞ住む(決まり字「わがい」)
- 11番 わたの原 八十島かけて 漕ぎ出でぬと(決まり字「わたのはらや」)
- 20番 侘びぬれば 今はた同じ 難波なる(決まり字「わび」)
- 54番 忘れじの 行末までは 難ければ(決まり字「わすれ」)
- 76番 わたの原 漕ぎ出でて見れば 久方の(決まり字「わたのはらこ」)
- 92番 わが袖は 汐干に見えぬ 沖の石の(決まり字「わがそ」)
38番は3字決まりの歌です。百人一首クイズの「100首すべて」では、38番も上の句から下の句を選ぶ問題に出てきます。
歌と読みの出典:ウィキソース「小倉百人一首」(歌・歴史的仮名遣いの読み・作者・出典)、照合:ウィキペディア「百人一首」の歌一覧(歌の読みと決まり字を1首ずつ照合)(確認日 2026-10-30)。現代語訳と説明はこのサイトが書いたものです。