百人一首 56番 あらざらむ
和泉式部の歌です。決まり字は「あらざ」、出典は後拾遺集の恋三です。
あらざらむ 此の世のほかの 思ひ出に
今一たびの 逢ふこともがな
読み:あらざらん このよのほかの おもいでに いまひとたびの おうこともがな
現代語訳 わたしはもうすぐこの世を去るでしょう。あの世への思い出に、せめてもう一度だけあなたに会いたい。
読み方
昔のかなづかい:あらざらむ このよのほかの おもひでに いまひとたびの あふこともがな
56番を、かるたで読み上げるときの今の発音で書くと「あらざらん このよのほかの おもいでに」「いまひとたびの おうこともがな」になります。56番は、後拾遺集の「恋三」の部にのっている恋の歌で、後拾遺集の中では763番の歌です。
「読み上げ」は、この端末に入っている日本語の声で読みます。声によっては不自然に聞こえることがあります。読み上げのために何かを送ることはありません。
ことばの説明
- 此の世(このよ)語
- いま生きている、この世の中。「あらざらむこの世」は、もうすぐ去るこの世のこと。(デジタル大辞泉「此の世」)
- 思ひ出(おもいで)語
- あとで思い出すこと。(デジタル大辞泉「思ひ出」)
この歌の場面
重い病にかかったときに、恋しい人に送った歌です。もうすぐこの世を去るかもしれないので、あの世への思い出に、せめてもう一度だけ会いたいと願う、ひたむきな思いがこもっています。
作者の和泉式部
小式部内侍の母で、中宮彰子に仕えました。恋の歌を多く残し、「和泉式部日記」も伝わっています。(デジタル大辞泉「和泉式部」)
「あ」で始まる歌
56番のほかに「あ」で始まる歌は15首あります。56番の決まり字は「あらざ」なので、3文字目の「ざ」まで聞くと、この歌だとわかります。
- 1番 秋の田の かりほの庵の とまをあらみ(決まり字「あきの」)
- 3番 足引きの 山鳥の尾の しだり尾の(決まり字「あし」)
- 7番 天の原 ふりさけ見れば 春日なる(決まり字「あまの」)
- 12番 天つ風 雲のかよひぢ 吹きとぢよ(決まり字「あまつ」)
- 30番 有明の つれなく見えし 別れより(決まり字「ありあ」)
- 31番 朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに(決まり字「あさぼらけあ」)
- 39番 浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど(決まり字「あさじ」)
- 43番 逢ひみての 後の心に くらぶれば(決まり字「あい」)
- 45番 哀れとも いふべき人は おもほえで(決まり字「あわれ」)
- 52番 明けぬれば くるるものとは 知りながら(決まり字「あけ」)
- 58番 有馬山 ゐなのささ原 風吹けば(決まり字「ありま」)
- 64番 朝ぼらけ 宇治の川霧 絶えだえに(決まり字「あさぼらけう」)
- 69番 嵐ふく 三室の山の もみぢ葉は(決まり字「あらし」)
- 78番 淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に(決まり字「あわじ」)
- 79番 秋風に たなびく雲の 絶間より(決まり字「あきか」)
56番は3字決まりの歌です。百人一首クイズの「100首すべて」では、56番も上の句から下の句を選ぶ問題に出てきます。
歌と読みの出典:ウィキソース「小倉百人一首」(歌・歴史的仮名遣いの読み・作者・出典)、照合:ウィキペディア「百人一首」の歌一覧(歌の読みと決まり字を1首ずつ照合)(確認日 2026-10-30)。現代語訳と説明はこのサイトが書いたものです。