百人一首 84番 ながらへば
藤原清輔朝臣の歌です。決まり字は「ながら」、出典は新古今集の雑下です。
ながらへば また此の頃や しのばれむ
憂しと見し世ぞ 今は戀しき
読み:ながらえば またこのごろや しのばれん うしとみしよぞ いまわこいしき
現代語訳 生きながらえたなら、いまのこのつらいときも、なつかしく思い出されるのだろうか。つらいと思っていた昔のことが、いまは恋しく思われるのだから。
読み方
昔のかなづかい:ながらへば またこのごろや しのばれむ うしとみしよぞ いまはこひしき
84番を、かるたで読み上げるときの今の発音で書くと「ながらえば またこのごろや しのばれん」「うしとみしよぞ いまわこいしき」になります。84番は、新古今集の「雑下」の部にのっている雑の歌で、新古今集の中では1843番の歌です。
「読み上げ」は、この端末に入っている日本語の声で読みます。声によっては不自然に聞こえることがあります。読み上げのために何かを送ることはありません。
ことばの説明
- 憂し(うし)語
- つらい。いやだ。(デジタル大辞泉「憂し」)
- 偲ぶ(しのぶ)語
- なつかしく思い出す。(デジタル大辞泉「偲ぶ」)
この歌の場面
生きながらえていれば、つらい今のことも、なつかしく思い出すのだろうか、という歌です。昔つらいと思っていたことも今は恋しいのだから、と時の流れが心をやわらげることを見つめています。
作者の藤原清輔
藤原顕輔の子で、六条家と呼ばれる歌の家の中心人物です。歌の学問の本「奥義抄」「袋草紙」を書きました(1104〜1177年)。(デジタル大辞泉「藤原清輔」)
「な」で始まる歌
84番のほかに「な」で始まる歌は7首あります。84番の決まり字は「ながら」なので、3文字目の「ら」まで聞くと、この歌だとわかります。
- 19番 難波潟 短き葦の ふしのまも(決まり字「なにわが」)
- 25番 名にしおはば 逢坂山の さねかづら(決まり字「なにし」)
- 36番 夏の夜は まだ宵ながら あけぬるを(決まり字「なつ」)
- 53番 嘆きつつ 獨りぬる夜の 明くるまは(決まり字「なげき」)
- 80番 ながからむ 心も知らず 黒髪の(決まり字「ながか」)
- 86番 嘆けとて 月やはものを 思はする(決まり字「なげけ」)
- 88番 難波江の あしのかりねの 一夜ゆゑ(決まり字「なにわえ」)
84番は3字決まりの歌です。百人一首クイズの「100首すべて」では、84番も上の句から下の句を選ぶ問題に出てきます。
歌と読みの出典:ウィキソース「小倉百人一首」(歌・歴史的仮名遣いの読み・作者・出典)、照合:ウィキペディア「百人一首」の歌一覧(歌の読みと決まり字を1首ずつ照合)(確認日 2026-10-30)。現代語訳と説明はこのサイトが書いたものです。